全ての人はハゲである


有名な話なので知っている方も多いと思いますが, ジョークとしては面白いです.

今回はタイトルのとおり「全ての人はハゲである」という主張を
数学的帰納法 (単に帰納法ともいう) により一応証明します.

P(n) を自然数 n に関する命題とします.
数学的帰納法とは

(1) 出発点の P(1) は正しい
(2) 各自然数 k に対し, P(k) が正しければ P(k+1) も正しい

これら (1), (2) が成り立てば任意の自然数 n に対して P(n) は正しい, という論法です.

そこで先ほどの主張に帰納法を適用してみます.

(1) 髪の毛が 1 本の人は明らかにハゲである
(2) 髪の毛が k 本の人をハゲとすれば, k+1 本の人もやはりハゲである

よって, 帰納法により全ての人はハゲであるという事になります.

と言われても実際の感覚とは違うので, この議論のおかしな点を述べます.
帰納法とは自然数変数を含む「命題」を証明するための論法でした.

命題とは

正しいか正しくないかを客観的に判断できる主張

のことです.

例えば「富士山は日本で一番高い山である」は命題ですが, 「富士山は高い」は命題ではありません.

そこでハゲであるかどうかは主観的なため,
髪の毛が k 本の人はハゲである, ということは一概には言えません.

つまり「髪の毛が k 本の人はハゲである」は命題ではないので,
帰納法を適用するのは実は無理だったわけです.

photo credit: WFC Photoshoot via photopin (license)