ほとんど至る所


Lebesgue 積分をやっていると「ほとんど至る所」という概念が必ずでてきます.

P(x) を可測集合 A の元 x に対する命題とします.
ある零集合 (測度が0の可測集合) B ⊂ A があって,
すべての x ∉ B に対して P(x) が成り立つとき,
「P(x) は測度 μ に関してほとんど至る所の x ∈ A に対して成り立つ」といいます.
このことを P(x) μ-a.e. x ∈ A, P(x) a.e. x ∈ A などと書きます.

また「f と g が Ω 上ほとんど至る所等しい」という場合は
f = g a.e. on Ω と書きます.

a.e. は ”almost everywhere” の略で,
a.e. x は ”almost every x” の略ですが, a.e. x のことを ”almost all x” として ”a.a. x” と書く人もいます.
フランス語では ”presque partout” なので, フランス人は ”p.p.” と書いたりします.
確率論では「ほとんど確実に」という意味で ”almost surely” として”a.s.” と書くことが多いようです.

photo credit: calculus-ALGEBRA-MATH-RELATED-WORDS-olga, olga shulman lednichenko, lednichenko, lednichenko-olga, olgalednichenko, lednichenko-olya, olya lednichenko, IMGAES AND PHOTOS OLGA LEDNICHENKO via photopin (license)

sup (上限)


A ⊂ R とします. A が上に有界であるとは
∃M, ∀x ∈ A s.t. x ≤ M
が成り立つ事です.

そして, 次のような集合を A の上界と言います:
{ M′ ; x ≤ M′, x ∈ A}.
このとき, 最小の上界が存在し, これをAの上限と言い, sup A と書きます.

ここで, sup A は次のように2通りの表し方があることに注意しましょう.
(i) ∀x ∈ A, x ≤ sup A.
(ii) ∀ε > 0, ∃x ∈ A s.t. sup A – ε < x.

図を書いてみると理解しやすいと思います.

<記号の意味>
∃: ある~が存在する. existの意味.
∀: 任意の. 全ての. for allの意味.
s.t.: ~となるような. such thatの略.

photo credit: M by Peter Saville via photopin (license)

空集合の記号


空集合とは
元を1つも持たない集合です.

そして, 空集合の記号は ∅ または0 (ゼロ) にスラッシュを重ねた記号で,
ノルウェー語のアルファベットから来ています.

TeX で文章を作成する際のフォントが Computer Modern の場合,
コマンドはそれぞれ \varnothing, \emptyset となります.

その記号をギリシャ文字の φ (ファイ) で代用している書籍などを見かけるときがありますが,
あれは正しくありません.

photo credit: September 7, 2015 via photopin (license)

行と列


数学において, “matrix” とは, 数を長方形に並べて括弧でまとめたものです.
これは行と列からできているので, 日本語では「行列」と呼ばれます.
行とは数の横の並びを言い, 列とは数の縦の並びを言います.
matrix の邦訳をつけたのは数学者高木貞治だそうです.

日常生活においても, 行と列の意味はそれぞれ横と縦の並びを表しますが, 使い分けが適当だったりします.
例えば, 「(車が横に並んでいるにも関わらず) 列の一番端に停めてください」や
「前3列を空けて座ってください」などと何故か「列」が使われることが多いです.
「行」を聞いたことが殆どありません.

行と列の意味を正しく理解するには, それぞれの漢字の旁に注目すると一目瞭然です.
は横の並び, は縦の並び.

photo credit: Life = Tesserae + Grout via photopin (license)

函数の由来


現在, 数学用語のカンスウを漢字で表記すると,
「関数」が一般的に使われていると思います.

日本語としての関数は本来「函数」と書きます.
私は普段「函数」を使っています.

これは英語 function の中国における訳語である函数 (hánshù) をそのまま日本に持ち込んだものです.
function が漢訳される際に発音が似ている「函」の字をあて,
数学に関する用語として「函数」としたのではないかという説があります.

日本では, 昭和21年以降, 「函」が漢字制限による当用漢字に含まれなかったため,
同音の「関」という漢字が使われるようになりました.

また, 「函」は「箱」の意味を持つことから, 函数は「ブラックボックス」の働きとして捉えることができます.
つまり, ブラックボックスの入口から入ってくる x にある加工を施して,
出口に y を出力する対応のさせ方が函数として表されます.

photo credit: Function via photopin (license)