Lotka-Volterra モデル

Lotka-Volterra (ロトカ・ボルテラ) 方程式は次に示すように,
種内競争のない 2 種生物間における捕食系を最も簡単に表した非線型微分方程式です.

dx/dt = rx – axy,
dy/dt = bxy – cy.

ここで x, y はそれぞれ被食者と捕食者の個体数,
t は時間, r, a, b, c は正の定数です.

このモデルには相平面上に 2 つの平衡点 (0,0), (c/b,r/a) がありますが,
解軌道は図のように共存平衡点 (c/b,r/a) の周りを巡ることが分かります.

私が昔書いた共著論文では, Lotka-Volterra モデルの被食者・捕食者間の関係をより現実的に表したモデルを作り,
解軌道がリミットサイクルになることを Poincaré-Bendixson の定理を使って示しました.
また, 理論に基づいてシミュレーションを行い, 解の振舞いを調べました.

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バタフライ効果

ある場所で蝶が羽ばたくと, 地球の反対側で竜巻が起こる.

これは映画『バタフライ・エフェクト』の冒頭で,
初期条件の僅かな違いが, 将来の結果に大きな差を生み出す,
というカオス理論の端緒となった現象を喩えたものです.

それは次に示す Lorenz (ローレンツ) 方程式という非線型微分方程式において初めて発見されました.

dx/dt = -xσ + σy,
dy/dt = rx – xz – y,
dz/dt = xy – βz.

ここで, t は時間, σ, r, β は正の定数です.
σ = 10, r = 28, β = 8/3 に対して, アメリカの気象学者 Lorenz は興味深いアトラクタを発見し,
それは Lorenz アトラクタと呼ばれるようになりました.
特徴として, 次のようなものがあります.

  1. 僅かな初期条件の違いで結果が大きく異なる.
  2. 軌道は同じ点に戻ることはない(非周期性).
  3. 秩序がないにもかかわらず, 軌道はある有界領域内に落ち着く.

これはストレンジアトラクタの 1 つで,
図のように蝶の羽に見える軌道が Lorenz アトラクタです.

身近に感じるカオスの例を 1 つ挙げましょう.
天気予報は何故外れるときがあるのでしょうか?
それは恐らく気象系がカオスを成しているからと言えるでしょう.
実際, 長期の予報は不可能です. 一方, 初期状態が近ければ
暫くは近い軌道を描くのだから短期的には予報も可能であって, 週間予報は大体当たっていますね.

ローレンツアトラクタの flash:
http://www.levitated.net/daily/levLorenzAttractor.html

 

photo credit: Chaotic Attractor via photopin (license)

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アトラクタとカオス

アトラクタとは,
散逸系 (エネルギーの出入りがある系) の運動が
初期条件に依存しない終極状態のことをいいます.

アトラクタは4種類あることが知られており,
以下は連続力学系 (パラメータ t が実数全体で定義される力学系) の場合です.

  1. 不動点
    ある1点に収束するアトラクタ.
  2. リミットサイクル
    周期運動を繰り返すアトラクタ.
  3. トーラス
    軌道が相空間内のドーナツ状曲面上に巻き付くように収束するアトラクタ.
  4. ストレンジアトラクタ
    軌道が2度と同じ点を通らない奇妙なアトラクタ.

4つ目のストレンジアトラクタがカオスとなります.

カオスとは,
決定論的な系において, 初期条件の僅かな違いが瞬く間に増幅され,
予測不可能な挙動を示す現象をいいます.

photo credit: Polynomial via photopin (license)

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