数学科卒は「数字」に強いのか?


社会人になってから、感じたことです。

「大学で数学を勉強していたということは数字に強いんですね。」

数学科を卒業した人なら、一度は言われたことのある一言だと思います。
そういう私も数学科卒なので、社会人になってから言われる機会が時々ありました。

しかし、実際のところ、数学科卒は「数字」に強くないと思います (どちかというと弱い?)。
何に強いかというと「数式 (文字式)」です。

これには理由があって、算数ならともかく、大学数学以上になると、
殆どが文字や論理記号を含んだ「数式」を用いるため、「数字」を扱う頻度がかなり低くなっているからです。
そして、数学科卒は「数字」に弱くなってしまったということです
(もちろん中には「数字」に強く、算数の得意な人はいます)。

1 日中「数式」と向き合っていた学生の頃と比べると、
社会人になってから「数字」を頻繁に扱うようになり慣れてきたものの、
「数字」に強いと思われると、未だに違和感を覚えてしまいます。

数学って、紙とペンさえあれば n 次元 (n は自然数) の世界に入って行けるので面白いですが、
やはり 4 次元以上は目に見えない分、抽象的な話になってしまいますね。

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(-1) × (-1) = 1 になることの証明


よく知られている次の演算規則
(− 1) × (− 1) = 1
がどのようにして導かれるかを見てみましょう。

ここでは、正の数 (自然数) とは何か、負の数とは何かについて深く考えず、
機械的に等式を導くことにします。

まず、1 × {1 + (− 1)} = 1 × 0 = 0 より、分配法則を使えば、
1 × 1 + 1 × (− 1) =0。移行して、1 × (− 1) = − 1 となる。
よって
0 = 0 × (− 1)
    = {1 + (− 1 )} × (− 1)
    = 1 × (− 1) + (− 1) × (− 1)
    = − 1 + (− 1) × (− 1)。
従って、
(− 1) × (− 1) = 1
となる。

数式に現れる負の数の演算も自由に行えるようになったのは、
18世紀になってからであると言われています。
しかし、当時はその正当化はされていませんでした。
その後、負の数の演算規則は、結合法則、可換則、分配法則などから導かれるものであると明確化したのは、
19世紀のイギリスの数学者 George Peacock (ジョージ・ピーコック) (1791 – 1858) の著書『代数学』 (1830) です。
この考え方は、「形式普遍の原理」(もしくは形式不易の原理) と言われ、
正の数で成り立つ命題を負の数にも成り立つと認めるという方法です。

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Lectures on Integral Geometry and Harmonic Analysis


Fulton B. Gonzalez, “Lectures on Integral Geometry and Harmonic Analysis,” COE Lecture Note Series 24, 2010.

2009年12月から2010年1月にかけて開催された、
Gonzalez 先生の集中講義の lecture note を基にして刊行されたものです。

集中講義が終わった後は、Gonzalez 教授にメールで原稿の正誤表を送ったりしていました。
原稿103ページ中、75ページ程ざっと目を通し、38ヶ所指摘したところは刊行時に修正されていました。
そして、lecture note の序文には、その仕事に対する功績で私の名前が掲載されています。

この講義の主な話題は Radon 変換に関するものでした。
Radon 変換は医療機器の CT スキャンに用いられているように現代社会に応用されている理論です。

現在では、Radon 変換は群論的に捉えらています。
G を局所 compact 位相群、K と H を G の閉部分群、
G、K、H、K ∩ H を unimodular とすれば、

double fibration
double_fibration
where p(g(K ∩ H))=gK, π(γ(K ∩ H))=γH

が与えられたとき、
X 上の compact 台を持つ複素数値連続函数全体 Cc(X) から
Ξ 上の函数全体への積分変換を Radon 変換と呼びます。

講義では大きく分けて、上のような一般の Radon 変換と
次の2つの double fibration に付随する Radon 変換をやりました。

classical Radon transform
classical
M(n): Rn の等長変換群、
Ξn: Rn の超平面全体、
Z2: xn=0 (x ∈ Rn の第 n 成分が 0) 平面に関する鏡映により生成された群。

d-plane transform on Rn
d-plane
G(d, n): Rn の d-plane (Rn の d 次元 affine 部分空間) 全体、
つまり affine Grassmannian。

GELFAND PAIRS AND BEYOND


Gerrit Van Dijk, “GELFAND PAIRS AND BEYOND,” COE Lecture Note Series 11, 2008.

2008年4月から5月にかけて開催された、
van Dijk 先生の集中講義の lecture note を基にして刊行されたものです。

Outline:
1. Representations and characters of finite groups
2. Representations of compact groups
3. Characters of infinite-dimensional representations
4. Representations of compact groups (cont.)
5. Spherical harmonics
6. Compact Glefand pairs
7. Gelfand pairs
8. Generalized Gelfand pairs

Exercisesの1つに、
(SU(2), SO(2)) がコンパクト Gelfand pair であることを示す問いがありました。

この解答として、SU(2) の極大トーラス T を用いて
SU(2) = SO(2)TSO(2)
と分解すれば上手くいくと気が付いて、それに関して先生は ”Good idea!” と言って褒めて下さいました。

その解答は lecture note の中で引用されており、私の名前が掲載されています。

私が、角度を上手くとって SU(2) を分解したのに対して、
先生は、 S3 は SU(2) の等質空間であるから、
e1 の固定部分群を求めて分解するという方法を後で解説なされました。
このような分解の仕方はよく用いられ、名称の付いているものもあるし、
Lie 群がある空間に推移的に作用していれば、やはりこの方法を使うのがスマートであると言えよう。

ダッシュとプライム


例えば f′ と右肩に付いている記号 ”′” を何と読みますか?
f を函数と思っても良いし、只のアルファベットと思っても構いません。

多くの日本人は ”ダッシュ (dash)” と読むのではないでしょうか。
しかし、それは正しくなく ”プライム (prime)” と読むのが正しいです。

実際に、辞書で prime を引いてみると、プライム記号 (”A’” の ”’”記号のこと) と書いてあります。
dash を辞書を引いてみると、ダッシュ記号 (―) と書いてあります。

私は大学で数学を学ぶまでは、”ダッシュ (dash)” と思っていましたが、
数学科の授業では ”プライム (prime)” と読むのが常識でした。

では何故多くの日本人はダッシュと読んでしまうのでしょうか。
それは日本の高校数学でダッシュという読み方が何故か常識になっており、
それが大きく影響していると思われます。

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