Gerrit Van Dijk,
“Introduction to Harmonic Analysis and Generalized Gelfand Pairs (De Gruyter Studies in Mathematics),”
De Gruyter Studies in Mathematics 36, Walter De Gruyter Inc, 2009.
私が Gelfand pair を知る切っ掛けとなったのは,
大学4年生の時に Van Dijk 教授の集中講義を受けたときでした.
Gelfand pair は次のように定義されます.
G をユニモジュラーである局所コンパクト Lie 群, K をそのコンパクト部分群とします.
対 (G, K) が Gelfand pair であるとは,
両側 K-不変な, G 上のコンパクト台を持つ複素数値連続函数の空間が,
合成積に関して可換環になるときに言います.
つまり, 岩堀-Hecke 環が可換であるとき, Gelfand pair と呼びます.
当時 Gelfand pair に関する入門書を探してみましたが見つからず,
Van Dijk 教授に尋ねてみると無いのが現状で, その時の講義ノートくらいでした.
そして, 当時 Van Dijk 教授は Gelfand pair の本も執筆されており,
翌年の 2009 年に出版されたのが本書です.
本書の構成としては, 第1章から第5章までが調和解析の内容で,
Gelfand pair については第6章以降に書かれています.
学部生でも読める内容となっており, 調和解析の予備知識がある読者は,
第6章から読んで差し支え無いと思います.