“algebra” の和訳は「代数」であり, 普通は「代数学」を思い浮かべるでしょうが,
algebra にはまた別の意味があります.
その別の意味では, “algebra” は日本語で「代数」または「環」と訳されます.
ここでいう環は普通の環ではなくて, 多元環のことです.
多元環 (結合的多元環ともいう) の定義を述べると,
体 K 上のベクトル空間 A が K 上の多元環であるとは,
A が環の構造を持ち, 積を与える写像 A×A → A が双線型であるときをいう.
多元環の例で簡単なものといえば, 行列環があります.
これは作用素環の1つですが, 作用素環論で重要なのは C* 環と von Neumann 環です.
また, 結合法則が成り立たないものは非結合的多元環といわれ,
その代表選手は Lie 環と Jordan 環です.