しっくりくる読み方

皆さんは ”[0,1]” のことを何と読みますか?
私は ”区間 [0,1] (ゼロイチ)”と読みます.
これに対して ”[0,1] 区間”と読む人を見かけます.

後者のほうが読み易い感じがするし,
別に読み方なんてどうでも良いと思うかもしれませんが, ここで少し考えてみます.

[0,1] は区間でも端点 0,1 を含んでいるので閉区間です.
そこで, 2つの読み方に ”閉” をつけてみます.

1つ目はただ ”閉区間 [0,1]” となるだけです.
2つ目は ”閉 [0,1] 区間” なのか, それとも ”[0,1] 閉区間” なのか
という2通りの読み方が生じてしまい, 何だか変な感じです.

こういった事を考えると, 1つ目の読み方がしっくりきますね.

同じような例では,
t というパラメータは, ”パラメータ t” であって ”t パラメータ” ではない,
a の上に矢印がついたものは, ”ベクトル a” であって ”a ベクトル” ではない,
などがあります.

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全ての人はハゲである

有名な話なので知っている方も多いと思いますが, ジョークとしては面白いです.

今回はタイトルのとおり「全ての人はハゲである」という主張を
数学的帰納法 (単に帰納法ともいう) により一応証明します.

P(n) を自然数 n に関する命題とします.
数学的帰納法とは

(1) 出発点の P(1) は正しい
(2) 各自然数 k に対し, P(k) が正しければ P(k+1) も正しい

これら (1), (2) が成り立てば任意の自然数 n に対して P(n) は正しい, という論法です.

そこで先ほどの主張に帰納法を適用してみます.

(1) 髪の毛が 1 本の人は明らかにハゲである
(2) 髪の毛が k 本の人をハゲとすれば, k+1 本の人もやはりハゲである

よって, 帰納法により全ての人はハゲであるという事になります.

と言われても実際の感覚とは違うので, この議論のおかしな点を述べます.
帰納法とは自然数変数を含む「命題」を証明するための論法でした.

命題とは

正しいか正しくないかを客観的に判断できる主張

のことです.

例えば「富士山は日本で一番高い山である」は命題ですが, 「富士山は高い」は命題ではありません.

そこでハゲであるかどうかは主観的なため,
髪の毛が k 本の人はハゲである, ということは一概には言えません.

つまり「髪の毛が k 本の人はハゲである」は命題ではないので,
帰納法を適用するのは実は無理だったわけです.

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凸集合

K を n 次元 Euclid 空間 Rn の部分集合とします.

K の任意の2点 x,y を結ぶ線分 xy が K に含まれるとき
K は Rn の凸集合であると言います:

x,y ∈ K ⇒ xy = {(1-t)x+ty  ;  0 ≤ t ≤ 1,t∈R} ⊂ K.

例えば, n-1 次元球体 Dn-1Rn の凸集合, 立方体は R3 の凸集合です.
また, Rn 自身も1つの凸集合です.
n-1 次元球面 Sn-1Rn の凸集合ではありません.
空集合は凸集合とみなします.

平面 R2 における凸集合のイメージ
508px-Convex_polygon_illustration1
凸集合

Convex_polygon_illustration2
凸集合ではない

ここで気付いた人もいるかもしれませんが, ”凸” という漢字に注目して,
これを R2 の部分集合と思えば明らかに凸集合ではありません.

そんな訳で凸集合について上で述べたのように説明されても
”凸” のせいでそんな感じが余りしないのは私だけでしょうか?

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