Mathematics

凸集合

K を n 次元 Euclid 空間 Rn の部分集合とします.

K の任意の2点 x,y を結ぶ線分 xy が K に含まれるとき
K は Rn の凸集合であると言います:

x,y ∈ K ⇒ xy = {(1-t)x+ty  ;  0 ≤ t ≤ 1,t∈R} ⊂ K.

例えば, n-1 次元球体 Dn-1Rn の凸集合, 立方体は R3 の凸集合です.
また, Rn 自身も1つの凸集合です.
n-1 次元球面 Sn-1Rn の凸集合ではありません.
空集合は凸集合とみなします.

平面 R2 における凸集合のイメージ
508px-Convex_polygon_illustration1
凸集合

Convex_polygon_illustration2
凸集合ではない

ここで気付いた人もいるかもしれませんが, ”凸” という漢字に注目して,
これを R2 の部分集合と思えば明らかに凸集合ではありません.

そんな訳で凸集合について上で述べたのように説明されても
”凸” のせいでそんな感じが余りしないのは私だけでしょうか?

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Spherical harmonics

R3 上のラプラシアン Δ = (∂2/∂x2, ∂2/∂y2, ∂2/∂z2) は2階微分作用素ですが, これを R3 の球面極座標
x = rsinθcosφ, y = rsinθsinφ, z = rcosθ
に変換し, r = 1 に制限したものは球面 S2 上のラプラシアンと呼びます.
これを ΔS2 と書くことにします.
※ΔS2 を導くために直接, 球面極座標に変換して計算すると大変なので, 先ず
x = ρcosφ, y = ρsinφ, z = z
に変換してから, もう一度
ρ = rsinθ, z = rcosθ, φ = φ
のように2次元極座標変換を行えば, 計算が割と楽になります.

R3 上の複素係数 n 次同次多項式の空間 Vn は明らかに1つの複素ベクトル空間で,
ラプラシアン Δ の Vn への制限
Δ|Vn : Vn → Vn-2
の kernel を Un とおきます.

そして, Un の元 を n 次調和多項式といい,
さらに S2 に制限したものは n 次球面調和多項式と呼ばれます.

このように呼ぶと, 球面調和多項式 F(1,θ,φ) はあたかも ΔS2F = 0 となる多項式のように思えます.
しかし, 実際は ΔS2F = -n(n+1)F となることが計算で確かめられるので,
F(1,θ,φ) は ΔS2 の固有多項式であり, その固有値は -n(n+1) であることが分かります.

球面調和多項式は英語の spherical harmonics の訳ですが, このような性質を持っているため誤解を招く恐れがあります.
適切な訳語であるとは余り思えないので, 英語のまま ”spherical harmonics” と言えば良いかもしれません.

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Jordan 曲線定理

次の定理を Jordan (ジョルダン) 曲線定理と呼びます.

c を平面上のループ (Jordan 曲線, 単純閉曲線とも言う) とすれば,
その補集合 R2-c は有界な部分 (内部) と有界でない部分 (外部) から成り, 2つの領域の境界は c です.
c の内部と外部からそれぞれ1点ずつをとれば, それらを結ぶ弧は必ず c と交わる.

この定理は一見明らかのように思えますが,
一般のループに対して証明するのは難しく, 位相幾何学の知識を必要とします.

いま, R2 について述べましたが, R3 の場合は成り立つでしょうか?
答えは, 成り立ちません.
R3 内のループでは内部も外部もないことは明らかでしょう.

また曲面上のループを考えると, 球面 S2 上では定理が成り立ちます.
ただ, 単連結の記事で書いたように内部・外部の区別は意味がありません.

トーラス上には定理が成立しないようなループがあります.

photo credit: Spirals and loops via photopin (license)

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